鉄壁の遺言書で遺産トラブルをシャットアウト!

自分が死んだあと、残された家族が遺産トラブルに巻き込まれないよう、相続に関することを「遺言書」に明記される方が増えています。自分が死んで生まれたお金で親族がもめるなど、やはり避けたいところです。そのためにも遺言書の作成は大切なのですが、ほとんどの方はすべてを自筆で書く「自筆証書遺言」になっていると思います。

もちろんそれでもトラブルを防ぐには有効ですが、落とし穴がないわけでもありません。どんな落とし穴なのか?そしてそれを防ぐ方法も紹介していきます。

判断能力が疑われて…

遺言書があるにもかかわらず、泥沼の裁判劇に発展することがあります。懐かしいところでは、京都の布製カバンメーカー「一澤帆布」の例が挙げられるのではないでしょうか?経営者が死んだ途端に、それまで会社に全く関係して来なかった兄弟が押し寄せてきて、「この会社は俺のものだ!」と言いだした事件です。この時は遺言書が偽造されていたりなど、当時のワイドショーを騒がせました。結局、元の職人が押し寄せてきた兄弟に反旗を翻し、退職して新会社を設立。今に至っているというわけです。

このように、たとえ遺言書があっても「偽造なのでは?」と疑われるケースもありますし、もう1つは「病気でヨボヨボの時に書かされて、正しい判断能力がなかったのでは?」と疑われるケースもあります。つまり泥沼の裁判劇とは、遺産の配分を巡って行われるのではなく、「遺言書そのものが有効かどうか?」を争点に争われると考えてください。つまり遺言書があったとしても、自筆証書遺言ではトラブルを回避できないケースもあるということです。

公正証書と遺言執行者

そこで注目したいのが「公正証書」です。公正証書は裁判所が作成する書類であり、法的に極めて強い拘束力を持ちます。つまり公正証書に書かれている内容に反対して争っても、裁判所からは鼻で笑われるだけです。

つまり遺言書を公正証書で書けば良いというわけです。しかし自筆証書遺言より手間がかかるのは仕方ありません。裁判所が認める正式な書類になりますので、費用もかかります。そしてすべての作業を素人がするには大変ですので、一般的には弁護士を立てて作成してもらうことになります。

さらにこの時、遺言執行者も決めておけば良いでしょう。遺言書に書かれている内容を正しく執行する、いわば「故人の代理人」のようなものです。事前に決めてなければ家庭裁判所が選任することになりますが、家族の誰か、あるいは家族以外の信頼できる人、または弁護士の方にお願いしておけば、誰かが遺言書の内容を誤魔化したり、正しく執行しないということもないでしょう。

さらに、一般的にご主人が亡くなった場合、葬儀や墓守は奥様がすることになります(奥様が存命ならば)。このように葬儀を仕切ったり、墓守をしてもらう人を「祭祀(さいし)の継承者」と呼びますが、特定の人にやってほしい場合はそれも決めておいた方が良いでしょう。

公正証書遺言はお金も手間もかかりますが、トラブル時に圧倒的な効力を発揮します。たとえ残された家族がどれだけもめても、「そんな遺言書は偽物だ!」と泣き言を言っても無駄です。それが公正証書であり、「何となくうちはもめそうな気がする…」と感じる場合は、ぜひ公正証書遺言を残すことをオススメします。