コミュニケーションとコントロールの違いとは?

妻の中には「夫はなかなか私の話を聞いてくれない」という不満を持っている人が少なくありません。夫の方は、「妻がなかなか話を聞いてくれない」と考えている人はそれほど多くはないでしょう。夫の場合には、「妻には話しても分からない」というケースの方が多いのではないでしょうか。このような夫婦の多くが勘違いしているのは、お互いの理解を深めるための「コミュニケーション」と相手に言うことを聞かせるための「コントロール」は違うということです。

コミュニケーションとは話し合うことです

子どもに問題が起こったと感じたときに妻はこう相談します。「来週の運動会を楽しみにしているかと思っていたら、どうもそうではなさそうなのよ。学校でイジメられたりしているのかしら。一度担任と話しあった方がいいと思うの」と。夫が「俺なんか、運動会が楽しかったことなんか一度もないよ。どうせいつもビリなんだからさあ」と言うと、「あなたのことはどうでもいいのよ。あなたは自分の息子が心配じゃないの?明日学校に行って担任に話を聞いて来てよ」と妻が責めます。

これに似た会話はしばしば行われていますが、こうしたものはコミュニケーションとは言えません。なぜなら、妻が夫の話を聞いていないからです。妻の相談に対し、夫は「運動会が嫌いな子どももいる」という事実を自分を引き合いに出して説明しただけです。それに対して、妻は感情的に怒りました。妻は初めから夫に学校に行かせたかったのです。妻にとって正しい答えは「明日、学校に行ってくるよ」と夫が答えることで、それ以外は間違っているのです。

妻にとっては夫の考え方などどうでもよくて、自分の考えに同意して従って欲しいだけです。会話のように見えても、実は単に妻が夫をコントロールしようとしているだけ。これでは会話にはなりません。

夫も普段、会社ではコントロールしている

夫が妻をコントロールすることもありますが、妻に比べて少ないものです。それは夫が会話上手だからではなく、仕事上指示や命令を出すことが多いため。部下に対して、「予算はできそうか?」と尋ねたら、部下はできない理由を説明したとします。それに対して、「何としてもやってくれ」と励ましたとすれば、それはコミュニケーションではありません。単に「やれ」と指示をしただけのこと。

こうしたコミュニケーションが多くの職場で横行しています。相手の意見や考えを聞くように見せかけながら、その実、自分の考えを伝えるだけ。最初から反論をさせるつもりはありません。部下はこうした上司の会話に慣れてしまうと、自分から報告や相談をしなくなります。そんな部下に対して「報告、連絡、相談のホウレンソウが大事だ!」と上司は指導したりもしますが、もとはといえば、上司が悪いのです。これと似たような構図が夫婦間で成立していると、コミュニケーションは双方向ではなく一方通行になり、いずれ会話が減っていくことになります。

夫婦の会話がうまくいかないのは、どちらかが一方的に自分の考えを押し付けているからです。コミュニケーションのつもりがコントロールになっていないか、一度ふたりの会話を冷静に考えなおしてみてください。