「あうんの呼吸」の真実とは?

夫婦が互いにわかりあっていれば言葉などいらない、と信じている人も少なくないでしょう。実際にそんな夫婦もあるかも知れません。言葉を使わなくても、相手の気持ちが分かるほど信頼し合える関係ができれば本当に素晴らしいことです。「新聞が読みたいな」と思うと新聞が出てくる、「お茶が飲みたいな」と思うとお茶が出てくる、「セックスしたいな」と思うと裸になる…夫にとってはこそんな妻がいれば幸せなのでしょう。

しかし、得てして、そんな妻に恵まれた夫は、妻の心をほとんど知らないものです。「以心伝心」とはいっても、一方通行の「伝心」しかないのです。妻の心をまったく知らない夫たちが、実は手玉に取られてバカにされているということも少なくありません。

「理想の夫婦」と思っているのは、夫だけ

結婚式のスピーチでは、「あうんの呼吸」とか「以心伝心」などという言葉がいまだに使われています。言葉としての美しさはめでたい席では大切なのかもしれませんが、「良い夫婦の心得」を語った主賓夫妻が、その後離婚してしまうなどということも少なくありません。言葉面だけカッコつけるのは簡単ですが、実際に良い夫婦になることはとても難しいことなのです。長年連れ添った夫婦は無言でも心が通じる、というのは、とても珍しいことです。

夫が帰宅してスーツを脱ぎスウェットに着替えて居間に入ると、冷えたビールが目の前に出される。それを一気に飲み干して、ほっと一息をつく。そこに枝豆がサッと出てきて、それをつまみにもうひと口ビールを飲む。「おい、ビール」といわなくても、自分の思い通りになれば、夫がいい気持ちになるでしょう。そうして、「俺たち夫婦は本当にいい夫婦だ」と満足する気持ちも分かります。

しかし、妻は満足しているのでしょうか?夫は妻の気持ちを理解しているのでしょうか?もしかすると、「この人は、ビールさえだしておけば満足する単細胞だから」と思っているだけかもしれません。「ビールを飲んだらとっとと風呂に入って早く寝てくれないかしら。セックスしたいなんて言われると困るから、早く酔っ払ってもらった方がいいのよね」などと。

「あうんの呼吸」は夫の一方的な思い込みだった!?

「あうんの呼吸」と思っていたものが、実は単に会話を避けるためのひとつの方法にすぎなかったということは少なくありません。「ビールを出さないと不機嫌になるから」という理由で妻が出しているのに、思い込みの激しい夫の方はそれに気がつきません。多くの「以心伝心」カップルでこうしたことが起こっています。

長年連れ添った夫婦だからといって、相手の気持ちを何でも理解できるはずがありません。言葉に出さなくても心が通じるというのは幻想にすぎないのですが、そう思い込むことで「幸せ」になれることもあります。会社の同僚に「妻自慢」をする男性の多くは、実は妻からは「ひとりよがりな人」と思われていたりもします。

言葉にしなくても心が伝わるなどという幻想を抱かず、お互いにしっかりと口に出して伝え合わないと、良い夫婦にはなれません。配偶者との「あうん」の中身をしっかりと見極めてみましょう。